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院長インタビュー

中村富士嗣(なかむら ふじつぐ)

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経歴

昭和53年 愛知学院大学歯学部卒業
昭和55年 江南歯科クリニック開院


医院の中に「口呼吸から鼻呼吸へ」という資料がいっぱい張ってあるんですけれど、その真意は?

昔の歯科は、「削って詰める」が主流でした。
しかし、2000年前後から歯医者ならではの「根本的な治療が出来る」ということがわかってきたんです。

大きく2つありますが、そのうちのひとつが「口呼吸から鼻呼吸へ」です

全身に影響することは、自分で治療しながら前々から分かっていたんです。
今井先生とか堀田先生の研修会に出て「これってやっぱりそうだよね」と確信しました。

みなさんは、歯医者は口を診ているだけで、全身は関係ないと思っています。
でも、病気ってどこから入ってくると思いますか?
ばい菌は、口や鼻から入ってきますよね?とういう話をするんです。

歯周病や口腔内の細菌が全身をめぐるんです。

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なんで口で呼吸するのはダメなのですか?

私たち人間は、口でも鼻でも呼吸が出来ます。
人間は、会話をすることが出来るようになったことと引き換えに、口で呼吸が出来るようになっちゃったんです。
確かに、抵抗がないから口の方が楽に呼吸できるんです。
でもそのことによって、口の中にダイレクトに細菌やウイルスやホコリやアレルギーの元になるものが口から気管を通って肺に入れちゃうんです。
それが、鼻で呼吸すれば、フィルター(ろ過機)であり、温度を上げたり、湿度を上げたりしてくれます。
肺に空気を入れるには、温度を体温に近くして、湿度も100%にして、且つきれいにすればしたほうが酸素の吸収率がいいんです。

鼻毛もフィルターですよね。

そうですね。
例えば、昔はするめを前歯で噛んだり引きちぎったりしていましたが、今の離乳食は栄養は考えるけど、おとうさんやおかあさんがお口の中に入れてあげちゃう、唇でつかむということはしないのです。
唇も口ももっと使う、そういう事を離乳食のときから、保健行政が指導するのもひとつの手です。

噛むことが下手になったことが、口呼吸につながっている?

はい、噛まないので、口の回りの筋肉が衰えています。
高齢の方のリハビリも、手足のトレーニングするに、何で命の入り口である口のまわり・・例えばベロや唇や頬っぺたやノド・・みんなこれ筋肉ですから、何でこれを鍛えないのかな?と。
筋肉は、使わなかったら4週間で半分に減ります。
小さいうちからそういう事を教えていけば、何かのきっかけのときの「そういういば
」と思い出します。


「知らないだけ」という要素が大きいんでしょうか?

そうですね。
本来だったら国や行政が教えてあげれば「あ、そういえば歯医者さんもそんな事を言ってたな、大事なことなんだな」と皆さんが理解してくれます。

理想は、歯医者さんは「削るところ」ではなくて、「メンテナンスをしていく場所」という事ですね。

そうですね。
その人にあった間隔でメンテナンスに来てほしいと思います。

あいうべ体操(下記図参照)の提唱者の今井先生が言われているように、ベロを上あごにつけて呼吸する、舌根(ぜっこん:舌の付け根)沈下しないようにすれば、気道をふさいで空気の通り道が狭くなりません。


例えば、睡眠時無呼吸症候群という病気があります。
睡眠時無呼吸は命を縮める病気です。
「シーパップ」という呼吸の補助をする器具があるのですが、寝る時にするにはうっとうしいのです。
耳鼻科や呼吸器内科で「一生使うんです」って言われたといってました。
本来は、正しい呼吸のトレーニングをして、舌根が下がって気道をふさいで酸素の通り道をふさがないように、ベロを上に上げてトレーニングをして、治るまではシーパップを使いましょう、というのが本当の医療だと思います。

インフルエンザも、手洗いうがいマスクで予防できているかというと、出来ていません。
発熱も風邪も口呼吸している人は鼻呼吸の人の3倍だそうです。
口で呼吸していたら口が乾いちゃいますからね
健康教育のひとつとして取り入れてほしいなと思います。

歯医者さんでそういう話を聞くことは、今まではあまりなかったですね。

お伝えしたい事はいっぱいあるのです。
でも、なかなか実際は時間が取れない、なので待合室にいろんな資料を置いています。
治療しながら「呼吸って大事です」という話をしますが、限界があります。
パンフレット読んでほしいし、本も持っていって家で読んでほしいです。
ホームページも見てほしいです。

テレビで「歯周病菌は悪い」って言うんですけれど、そんなに悪いんですか?

歯周病菌ですから、「これってお口の中でだけ悪さする・・歯ぐき腫れたり、口臭がしたり、膿(うみ)が出たり、骨が溶ける菌?」・・・と思いますよね。

じゃあ、頭や鼻や耳や他の部位はどうなると思いますか?
それくらいイタズラをしているんだから、他の部分に関しても、このようなイタズラをするんです。

糖尿病
リウマチ
アトピー
認知症
嚥下性肺炎
敗血症
心内膜炎
早産・低体重児出産
認知症
心筋梗塞

例えばリウマチも、原因不明だよって言われてました。
去年ぐらいまでの健康番組だと「原因不明なのでつきあっていかなきゃいけない病気だ」と言っていました。

その一方、アメリカでは1990年代から「歯周病は全身疾患に関連している」と言ってました、リウマチも2010年のうちから言ってたのです。

どうしてそう後手後手になるのか?
EBM(Evidence-based Medicine":根拠(エビデンス)に基づく医療)に基づいた治療じゃないと医科の先生に言われます。
でも、生活習慣病って、薬で根本治療は出来ないんです、習慣を変えないと治らないんです。

何でこんなに病人が増えているのか?
どっかに間違いがあるんじゃないか?
原因(病巣)にアプローチできていないんじゃないか?
そう思っています。

血管中に入った細菌は、血管壁に入ってというデータが出ています。
2010年には、PG菌(Porphyromonas gingivalisポルフィロモナス・ジンジバリス)菌が人間の体の免疫を暴走させちゃって、関節に炎症を起こさせる、リウマチなどの自己免疫疾患の一因と報告されています。

また、2010年には、ガンと慢性炎症の関わりについても報告されています。
慢性炎症にしても、イギリスと慶応大学が研究していろいろな項目で調べて、100歳の長寿と慢性炎症が関連あると報告しています。
なぜ炎症が強くなるのか?もっと調べてもらって国民に教えてほしいです。



大事なのは健康寿命ですよね?病巣が口の中にあるんですか?

口だけでなく鼻やノドにもあります。
100年以上前から「病巣感染」というビリング先生が提唱した概念があったんです。
昔からの考え方が、ひょっとしたら、正しい考え方だったと復活してきています。
病の入口として、鼻(上咽頭)や、口(歯周)や、ノド(扁桃)が関係しています。

実は、自分が「Bスポット治療」をしています。
Bスポット=鼻咽腔(びいんくう)=上咽頭にある病巣を叩いています。

先生ご自身の体験もあるんですね。

子供の頃から鼻づまりがあったのです。
大学の6年生のときに病院に行ったら、鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)といわれて手術をしたんです。
症状としては良くならなかった。
日常は苦にならないんだけど、風邪は引きやすいし、セキがよく出て、呼吸が出来ないくらい苦しくなるんです。
鼻を吸ったり、薬を投与しても、なかなか治らない。
「こんなことじゃイカンな」と思って耳鼻科の先生に根本治療したいとお願いしました。
薬を飲むといいんだけど、切れると症状が復活すると先生に話したら
「薬が切れたら。症状出るの当たり前でしょう」と言われました。

そんな時、県の歯科医師会館での、口呼吸の研究会を「あ、これって面白いね」と思って聞きに行ったんです。
当時はまばらだったのですがBスポット治療をやっている田中亜矢樹先生の話を聞いて
「本当にこれって、人間の健康の中で大事なことだよね」と思って腑に落ちたのです。

大阪の田中先生のところまで通院しました。
確かに、治療は痛いし、気持ち悪い、なかなか痛いのは辛抱できないかもしれない。
でも、セキが出なくなり、根本から治療している、という確信を得ました。

口で呼吸する事は、ダイレクトに冷たく乾いたホコリを含んだ空気が気管と肺に入るということです。
この15センチの鼻の中で、ろ過された、体温に近い、湿度100%の空気にするんだから、鼻呼吸は健康にはるかに良んです。

こういうことを、もっと発信したい!と思ってらっしゃるんですね。

歯医者さんぽい話ではありませんが(笑)、悪くなる前に来る予防の一環です。

歯周病や虫歯予防のために、歯医者さんに通うのは、どれくらいの間隔で来たらいいのですか?

個人の差があります。
まず関心を持ってもらうことが一番大切です。
健康のことを理解してもらえないと話が進みません。
普段の歯磨きを代わりにやってあげるわけにはいかないので、ブラシもフロスもきちんとして・・そこそこでいいですから、自分のお口の中をキレイにしてほしいです。

確かに僕らが歯科大学を卒業する頃、歯医者の仕事は「削る詰める」だったけど、もはや時代と合っていません、今は違います。
慢性炎症は、自分の体の離れたところにイタズラすることは分かっています。
そういう時代になってきたから、考え方を変えてほしいなと思います。

江南歯科は「健康よろず相談所」という感じでしょうか?

はい!
私も研修会や研究会に参加させてもらって、得られた情報や知識を生かして、分かりやすく伝えたいと思っています。
診療中にしゃべり続ける訳にいかないので(笑)、資料はそろえてあります。
「先生、これ借りていっていいですか?」と言っていただければ受付で貸し出しますので、読んでもらって、分からないところは聞いてもらえればと思います。

口を治すだけでなくて、全身を治すんですね。

はい。「全身を治す」という例でアトピーの患者さんのエピソードがあります。
私が歯医者の仕事としてすることは、お口の汚れを取ることです。
ノドや口を通じて、全身にバイ菌や毒素がいったときに、たまたま皮膚にでているのがアトピーなこともあります。
皮膚が悪いんじゃなくて、他の臓器の可能性もあります。
根本の原因はそこでなくて、起こしている原因が他にあるんじゃないかということを考えます。
病気が起きているところと違うところに病巣があって悪さすることを「病巣感染(びょうそうかんせん)」というんです。
元になっているところは、症状が出ていないんです。
実際、今の医療の体系として、症状が出ているところは診ていても、原因は見ていないことが多いです、僕の症例のように。

医科の先生は患者さんに「根本原因がもしかして口(口腔)にあるかも、歯医者さん行ってみなさいよ」と一言言ってほしいです。
歯科の方も、口や鼻やノドが他の病気の原因になることを理解だけはしておかないといけません。

呼吸って大事なんですね。

正しいのは、鼻呼吸です。
「口呼吸防止のため、口にテープを張って休んでください」って言うと笑う人もいますが、実際に口テープを売っている企業もあるんです。
おかしな話じゃないので、やってみてください。

患者さんに、口呼吸の説明をして、鼻呼吸にしてもらったら
「のどのつかえがなくなった」
「飲み込みがよくなった」
「あいうべ体操やったら良く眠れるようになった」
という患者さん、いっぱいいます。

若い子で全身に炎症が出て腫れちゃっていた子がいました
その子に「とにかく口の中キレイにしよう。寝る前に、テープしよう、口呼吸はやめよう」
とお話しました。
数ヶ月経ったとき「○○さんきれいになったよね」と言ったらニコってしている。

お母さんに聞いたら、
「先生、すごくよくなったんです。
あれからこの子、よく歯を磨くようになったんです。
歯医者行くのが楽しくなった」って言うんですよ。

こちらもその子に「またがんばろうね、よくなってきたからね、夜寝るときに口テープやってる?」って聞いたら「ううん」というから、「じゃあこれやったらもっとよくなるよ」と。
その子は、お口の中にタービン入れるとオエっとなる嘔吐反射があったんですね。
あまり口の中の状態はよくなかった。
一方、アトピーは、皮膚科で10年以上通っているのに治らない。
その子の皮膚が悪いんじゃない、それを起こしている何かの原因があるんですよ。
我々歯科が出来ること、1つでも2つでもその原因を探して取り除くのが我々の仕事。
その子も嬉しいでしょうし、我々も嬉しいのです。

「口をキレイにすること」と「呼吸を正しくすること」は本当に大事。
患者さんが長く通ってくれることで、我々も教えてもらうこともたくさんあります。

このような子は、ひとりではないです。

他にもいらっしゃるんですか?

年に5~6回激しい頭痛があって、嘔吐で入院する小学生高学年の子がいました。
MRIもCTも撮った入院もした、原因が分からない、薬で抑えるけど、原因分からないというのを繰り返していました。

その子のお母さんが、人づてに当院の話を聞いて
「ひょっとしたら、口が原因かもしれない。先生、この子の病気、口と関係あるんでしょうか?」と来院しました。
診たら、口呼吸だったので、私が教えたのは
「口を閉じて、舌を上アゴにつける、あいうべ体操して、口テープをしてください」ということです。
この5~6年一度も入院していないそうです。

エビデンス(科学的根拠)はわからないけど、結果的に入院を繰り返していた子がしなくなったんだからそれでいいんです。
すごくそれが大事なんです。
病気が出たときに原因を探るのに、検査結果だけで見て「なんでもありません」といわれるより、上咽頭の知識をもってそのような処置をしたことで入院をしなくなったのですから。


「ひょっとしたら・・」って思ってくれる人が来てくれるといいですね。

リウマチの患者さんでも、楽になって生活している方がいます。
糖尿病も、長年数値変わらなかったのに、歯周病治療すると数値が下がっていくんです。
歯周病は糖尿病の第六の合併症といわれていますが、たまたま6番目に発見されただけで、歯周病治したらよくなるので、もっと順位上げてほしいです。(笑)

そのようなことを、江南市役所で講演しています。
意欲がある限り、時間を取りますので話ししに行きます。
やってて、僕は楽しいんです。

反対咬合(はんたいこうごう:受け口)のことについても教えてもらえますか?

早い段階で予測できるので、歯科がアプローチできるジャンルです。
大人になってからなおすには、アゴの骨を切るので大学病院にお願いしなくてはならないケースがあります。
骨を切るということは出来る限りしたくない。
しゃくれあごになることもあり、その子が社会に出たときに見た目が悪くて精神的に苦痛があったらいけないと思うんです。
そうならないように、小さいときに治して調和して発育するようにしてあげることがその子にとって一番負担が少なくてすみます。
開業医としてはコントロールできるうちに、早く手を打とうよということです。



とにかく、少しでも気になることがあったら、遠慮せずにお話ししてください。


インタビュー2018/8/22

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